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  • 不法行為又は債務不履行による家屋焼失に基づく損害賠償額から火災保険金を損益相殺として控除することの適否

S50.01.31 最高(三小)判 事件番号 昭49(オ)531

  • 判決
    • 家屋焼失による損害につき火災保険契約に基づいて被保険者たる家屋所有者に給付される保険金は,既に払い込んだ保険料の対価たる性質を有し,たまたまその損
      害について第三者が所有者に対し不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償義務を負う場合においても,右損害賠償額の算定に際し,いわゆる損益相殺として控除さ
      れるべき利益にはあたらないと解するのが,相当である。

  • 会社の従業員が会社所有の自動車を私用のため無断運転中に惹起した事故により同乗者を死亡させた場合にその相続人から会社に対し自動車損害賠償保障法第三条に基づく運行供用者責任を問うことができないとされた事例
  • 一 民法七一一条の類推適用により被害者の夫の妹に慰藉料請求権が認められた事例
  • 二 不法行為による生命侵害があつた場合と民法七一一条所定以外の者の固有の慰藉料請求権

S49.12.17 最高(三小)判 事件番号 昭49(オ)212

  • 判決
    • 不法行為による生命侵害があつた場合,被害者の父母,配偶者及び子が加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうることは,民法七一一条が明文をもつて認めるところであるが,

      右規定はこれを限定的に解すべきものでなく,文言上同条に該当しない者であつても,被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し,

      被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は,同条の類推適用により,加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうるものと解するのが,相当である。

      本件において,原審が適法に確定したところによれば,被上告人B1は,Dの夫である被上告人B2の実妹であり,原審の口頭弁論終結当時四六年に達していたが,幼児期に罹患した脊髄等カリエスの後遺症により跛行顕著な身体障害等級二号の身体障害者であるため,長年にわたりDと同居し,同女の庇護のもとに生活を維持し,将来もその継続が期待されていたところ,

      同女の突然の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたというのであるから,被上告人B1は,民法七一一条の類推適用により,上告人に対し慰藉料を請求しうるものと解するのが,相当である

  • 会社の従業員が会社所有の自動車を私用のため無断運転中に惹起した事故により同乗者を死亡させた場合にその相続人から会社に対し自動車損害賠償保障法第三条に基づく運行供用者責任を問うことができないとされた事例

S49.12.06 最高(二小)判 事件番号 昭47(オ)930

  • 判決
    • 原審が適法に確定したところによれば,被上告人の従業員であるDは,被上告人所有の自動車を私用に使うことを厳重に禁止されていたにもかかわらず,勝手に持ち出して夜桜見物に出かけようとしたが,

      その際,母から被上告人所有の自動車は私用に使うことを禁止されているのであるから夜桜見物に出かけることをやめるように戒められていつたんその気になつたものであるところ,

      その場に居合わせたE,F,Gは,被上告人がその所有自動車を私用に使うことを禁止していることを承知していながら,夜桜見物の決行を強く主張し,

      積極的にDをそそのかして同人ともども右自動車に同乗して出かけ,その帰途原判示の地点においてDの運転する右自動車が大型貨物自動車に正面衝突し,そのためD及び右同乗者三名がいずれも即死したというのである。

      このような本件の事実関係のもとにおいては,本件事故によつて右同乗者及びその相続人らに関し生じた損害につき,右相続人らが被上告人に対し自動車損害賠償保障法三条に基づく運行供用者責任を問うことはできないとした趣旨の原審の判断は,正当として是認することができる 

  • 交通事故による損害賠償債権を有する者が債権者代位権により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するための要件

S49.11.29 最高(三小)判 事件番号 昭和47(オ)1279

  • 判決
    • 金銭債権を有する者は,債務者の資力がその債権を弁済するについて十分でないときにかぎり,

      民法四二三条一項本文により,債務者の有する権利を行使することができるのであるが(当裁判所昭和三九年(オ)第七四〇号,同四〇年一〇月一二日判決,民集一九巻七号一七七七頁),交通事故による損害賠償債権も金銭債権にほかならないから,

      債権者がその債権を保全するため民法四二三条一項本文により債務者の有する自動車対人賠償責任保険の保険金請求権を行使するには,債務者の資力が債権を弁済するについて十分でないときであることを要すると解すべきである。
       

  • 自動車修理業者の雇用する修理工見習が起こした自動車事故につき雇主の使用者責任が認められなかつた事例

S49.10.22 最高(三小)判 事件番号 昭49(オ)374

  • 判決
    • Dは,自動車修理業者である被上告人に修理工見習として雇用され,休日を利用して大阪職業訓練所における自動車整備士資格取得のための講習を受け,昼休みに被上告人方の寮へ帰つた際,

      被上告人の専属的な塗装下請業者であるE所有の本件加害車が工場敷地内に鍵をつけたまま置いてあつたのを見て,これを同人に無断で持ち出し,練習のため道路上を運転中本件事故
      を起こしたものであるが,

      Dは,運転免許をもたず,職務に関して自動車を運転することはなく,右整備士資格取得のための受講も被上告人の指示もしくは勧奨によるものではなく,また,Eは,被上告人の工場内で業務に従事するため,

      加害車を自己の通勤に使用し,被上告人の業務のため加害車を使用させることはなかつたというのであつて,この事実の認定は,挙示の証拠に照らして是認することができる。

      そして,原判決認定の事実関係のもとにおいては,本件事故当時のDの加害車の運転は,その本来の職務行為でないことはもとより,職務行為の延長ないしはこれと密接な関連を有する行為であるとも認めがたく,

      外形上も同人の職務の範囲内に属する行為ということはできないとして,被上告人の使用者責任を認めなかつた原判決の判断は,正当として是認することができる 

  • 不法行為による受傷の後遺症に基づく損害賠償請求権の消滅時効が右後遺症の顕在化した時から進行するものとされた事例

S49.09.26 最高(一小)判 事件番号 昭48(オ)1214

  • 判決
    • 原審の確定するところによれば,本件交通事故により上告人が受傷したのちにおける治療の経過は原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の説示するとおりであつて,

      上告人の右受傷による所論の後遺症は遅くとも昭和四一年二月一二日より以前に顕在化し,その後において症状は徐々に軽快こそすれ,悪化したとは認められないというのであるから,

      上告人としては右の時点で所論の後遺症に基づく本件逸失利益及び精神的苦痛の損害の発生を予見し,その賠償を請求することが社会通念上可能であつたものというべく,

      したがつて,原審が右認定にかかる事実関係に基づき,本件損害賠償請求権の消滅時効は遅くとも前記昭和四一年二月一二日にはその進行を始め,本訴が提起された昭和四四年二月一二日までに右消滅時効が完成していると判断したのは正当であり,原判決に所論の違法はない

  • 一 女子の事故死と妻として家事に従事する期間における財産上の損害
  • 二 妻として家事に従事する期間における逸失利益の算定

S49.07.19 最高(二小)判 事件番号 昭44(オ)594

  • 判決
    • おもうに,結婚して家事に専念する妻は,その従事する家事労働によつて現実に金銭収入を得ることはないが,家事労働に属する多くの労働は,労働社会において金銭的に評価されうるものであり,

      これを他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから,妻は,自ら家事労働に従事することにより,財産上の利益を挙げているのである。

      一般に,妻がその家事労働につき現実に対価の支払を受けないのは,妻の家事労働が夫婦の相互扶助義務の履行の一環としてなされ,また,家庭内においては家族の労働に対して対価の授受が行われないという特殊な事情によるものというべきであるから,
      対価が支払われないことを理由として,妻の家事労働が財産上の利益を生じないということはできない。

      のみならず,法律上も,妻の家計支出の節減等によつて蓄積された財産は,離婚の際の財産分与又は夫の死亡の際の相続によつて,妻に還元されるのである。

      かように,妻の家事労働は財産上の利益を生ずるものというべきであり,これを金銭的に評価することも不可能ということはできない。

      ただ,具体的事案において金銭的に評価することが困難な場合が少くないことは予想されうるところであるが,

      かかる場合には,現在の社会情勢等にかんがみ,家事労働に専念する妻は,平均的労働不能年令に達するまで,女子雇傭労働者の平均的賃金に相当する財産上の収益を挙げるものと推定するのが適当である。

  • 道路の交差点における信号機の設置に瑕疵があつたとされた事例

S48.02.16 最高(二小)判 事件番号 昭43(オ)431

  • 判決
    • 右事実に徴すると,本件横断歩道の西端から斜め右方を注視すれば,本件信号機の存在およびその信号の表示を確認することができるのではあるが,

      右のような事実関係,ことに歩行者が,本件横断歩道西端に至り東端に向かつて道路を横断しようとするにあたり,前方を見ても当然には本件信号機が見える位置にはなく,

      一旦横断を開始すれば一層見えにくくなる状況にあり,しかも,前記のように本件交差点が極めて複雑で特異な構造を有していたことなどを考慮すると,

      本件信号機は,その位置および機能をあらかじめ知つていない一般の歩行者にとつては,本件横断歩道の歩行をも兼ねて規制するためのものであることを容易に認識できる適切な位置に設置されてはいなかつたものといわなければならない。

      そうすると,本件信号機は,本件横断歩道との関連においてみるかぎり,その歩行者の歩行をも兼ねて規制する信号機としては,不適当な位置に設置されていたものと認めるのほかはなく,

      かかる意味において,本件横断歩道を歩行する者の通行の安全をも確保するため公の営造物として本来具備すべき安全機能を全うしえない状況にあつたものと解すべきであつて,

      本件信号機の設置に瑕疵があつたものとした原判決の判断は正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。 

  • 同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間における相殺の許否

S49.06.28 最高(三小)判 事件番号 昭47(オ)36

  • 判決
    • 民法五〇九条の趣旨は,不法行為の被害者に現実の弁済によつて損害の填補を受けさせること等にあるから,およそ不法行為による損害賠償債務を負担している者は,被害者に対する不法行為による損害賠償債権を有している場合であつても,

      被害者に対しその債権をもつて対当額につき相殺により右債務を免れることは許されないものと解するのが,相当である(最高裁昭和三〇年(オ)第一九九号同三二年四月三〇日第三小法廷判決・民集一一巻四号六四六頁参照。)。

      したがつて,本件のように双方の被用者の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても,民法五〇九条の規定により相殺が許されないというべきである。 

  • 将来の支出が予想される手術費用の損害賠償が認められた事例

S49.06.27 最高(一小)判 事件番号 昭49(オ)7

  • 判決
    • 原判決によると,原審は,所論美容的形成手術費等の将来の支出が治療上必要であり,かつ,確実であると認めたうえ,右手術費用等の支出による現在の損害額を五八万一五〇〇円と算定し,その賠償請求を認容したことが明らかである。

      右認定判断は,原判決挙示の証拠に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない

  • 交通事故の被害者の近親者が看護等のため被害者の許に往復した場合の旅費と通常損害

S49.04.25 最高(一小)判 事件番号 昭48(オ)234

  • 判決
    • おもうに,交通事故等の不法行為によつて被害者が重傷を負つたため,被害者の現在地から遠隔の地に居住又は滞在している被害者の近親者が,被害者の看護等のために被害者の許に赴くことを余儀なくされ,それに要する旅費を出捐した場合,

      当該近親者において看護等のため被害者の許に赴くことが,被害者の傷害の程度,当該近親者が看護に当たることの必要性等の諸般の事情からみて社会通念上相当であり,被害者が近親者に対し右旅費を返還又は償還すべきものと認められるときには,

      右旅費は,近親者が被害者の許に往復するために通常利用される交通機関の普通運賃の限度内においては,当該不法行為により通常生ずべき損害に該当するものと解すべきである。

      そして,国際交流が発達した今日,家族の一員が外国に赴いていることはしばしば見られる事態であり,また,日本にいるその家族の他の構成員が傷病のため看護を要する状態となつた場合,

      外国に滞在する者が,右の者の看護等のために一時帰国し,再び外国に赴くことも容易であるといえるから,前示の解釈は,被害者の近親者が外国に居住又は滞在している場合であつても妥当するものというべきである。

  • 一 交通事故による自動車の損傷につき事故当時の価格と売却代金の差額を損害として請求しうる場合
  • 二 交通事故により損傷を受けた中古車の事故当時における価額評価の基準

S49.04.15 最高(二小)判 事件番号 昭48(オ)349

  • 判決
    • 思うに,交通事故により自動車が損傷を被つた場合において,被害車輛の所有者が,これを売却し,事故当時におけるその価格と売却代金との差額を事故と相当因果関係のある損害として加害者に対し請求しうるのは,

      被害車輛が事故によつて,物理的又は経済的に修理不能と認められる状態になつたときのほか,被害車輛の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当と認められるときをも含むものと解すべきであるが,

      被害車輛を買替えたことを社会通念上相当と認めうるがためには,フレーム等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められることを要するものというべきである。

      また,いわゆる中古車が損傷を受けた場合,当該自動車の事故当時における取引価格は,原則として,これと同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によつて定めるべきであり,

      右価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によつて定めることは,加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のないかぎり,許されないものというべきである。

  • 過失相殺後の請求認容額等を考慮して定められた弁護士費用と過失相殺

S49.04.05 最高(二小)判 事件番号 昭48(オ)835

  • 判決
    • 原審は,本件事案の難易,請求認容額等の諸般の事情を考慮して弁護士費用一七万円を本件事故と相当因果関係のある被上告人の損害と認めたものであることが明らかであつて,

      右一七万円は,既に過失相殺をして減額した請求認容額を考慮して定められたものであるから,さらに過失相殺による差引をすべきではない。

  • 責任能力のある未成年者の不法行為と監督義務者の不法行為責任

S49.03.22 最高(二小)判 事件番号 昭47(オ)1067

  • 判決
    • 未成年者が責任能力を有する場合であつても監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法七〇九条に基づく不法行為が成立するもの 

  • 一、窃取された自動車による事故につきその所有者が自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任を負わないとされた事例
  • 二、自動車のドアに鍵をかけずエンジンキーを差し込んだままでした駐車とこれを窃取した者が惹起した事故による損害との間に相当因果関係がない場合

S48.12.20 最高(一小)判 事件番号 昭47(オ)268

  • 判決
    • 「被上告人は、肩書住所地において、四四台の営業車と九〇余名の従業員を使用してタクシー業を営む会社であり、本件自動車も被上告人の所有に属していたものであるが、

      昭和四二年八月二二日本件自動車は、その当番乗務員が無断欠勤したのに、朝からドアに鍵をかけず、エンジンキーを差し込んだまま、原判示のような状況にある被上告人の車庫の第一審判決別紙見取図表示の地点に駐車されていたところ、

      訴外Dは、被上告人とは雇傭関係等の人的関係をなんら有しないにもかかわらず、被上告人の車を窃取してタクシー営業をし、そのうえで乗り捨てようと企て、同日午後一一時頃扉が開いていた車庫の裏門から侵入したうえ本件自動車に乗り込んで盗み出し、

      大阪市内においてタクシー営業を営むうち、翌二三日午前一時五分頃大阪市a区b町c丁目d番地附近を進行中、市電安全地帯に本件自動車を接触させ、その衝撃によつて客として同乗していた上告人に傷害を負わせた、というのである。

      右事実関係のもとにおいては、本件事故の原因となつた本件自動車の運行は、訴外Dが支配していたものであり、被上告人はなんらその運行を指示制御すべき立場になく、また、その運行利益も被上告人に帰属していたといえないことが明らかであるから、

      本件事故につき被上告人が自動車損害賠償保障法三条所定の運行供用者責任を負うものでないとした原審の判断は、正当として是認することができる」
      「おもうに、自動車の所有者が駐車場に自動車を駐車させる場合、右駐車場が、客観的に第三者の自由な立入を禁止する構造、管理状況にあると認めうるときには、

      たとえ当該自動車にエンジンキーを差し込んだままの状態で駐車させても、このことのために、通常、右自動車が第三者によつて窃取され、かつ、この第三者よつて交通事故が惹起されるものとはいえないから、

      自動車にエンジンキーを差し込んだまま駐車させたことと当該自動車を窃取した第三者が惹起した交通事故による損害との間には、相当因果関係があると認めることはできない。」

  • 労働省労働基準局長通達に示された労働能力喪失表と得べかりし利益の喪失による損害の算定

S48.11.16 最高(二小)判 事件番号 昭47(オ)734

  • 判決
    • 交通事故による傷害のため,労働能力の喪失・減退を来たしたことを理由として,得べかりし利益の喪失による損害を算定するにあたつて,上告人の援用する労働能力喪失率表が有力な資料となることは否定できない。

      しかし,損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるから,被害者の職業と傷害の具体的状況により,同表に基づく労働能力喪失率以上に収入の減少を生じる場合には,その収入減少率に照応する損害の賠償を請求できることはいうまでもない。

  • ある事実を主張して訴を提起追行した者が別訴において右事実を否認しても信義則に反しないとされた事例
    直ちに禁反言に当たるものとして,信義則に違反するものとはいえない

S48.07.20 最高(二小)判 事件番号 昭48(オ)215

  • 判決
    • 先にある事実に基づき訴を提起し、その事実の存在を極力主張立証した者が、その後相手方から右事実の存在を前提とする別訴を提起されるや、一転して右事実の存在を否認するがごときことは、訴訟上の信義則に著しく反することはいうまでもない。

      しかし、原審の適法に確定したところによると、被上告人が先に第三者異議訴訟において主張していた営業譲受けの事実はなく、その主張が虚偽であつたのであり、

      かえつて本訴における右の否認が真実に合致した主張であり、しかも右第三者異議訴訟はすでに休止満了によつて訴の取下とみなされているというのであつて、かかる事実関係のもとにおいては、被上告人の前記否認は、信義則に反せず有効であると解するを相当とする。
       





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