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  • 一つの交通事故について甲及び乙が連帯して損害賠償責任を負う場合に乙の損害賠償責任についてのみ過失相殺がされて両者の賠償すべき額が異なるときに甲のした損害の一部てん補が乙の賠償すべき額に及ぼす影響

H11.01.29 最高(三小)判 事件番号 平9(オ)2049

  • 判決
    • 甲がしたてん補の額は丙がてん補を受けるべき損害額から控除すべきであって、控除後の残損害額が乙が賠償すべき損害額を下回ることにならない限り、乙が賠償すべき損害額に影響しないものと解するのが相当である。

  • 一 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合
  • 二 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合における求償金額の算定

H10.09.10 最高(一小)判 事件番号 平9(オ)448

  • 判決
    • 被害者が、右訴訟上の和解に際し、乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。

      そして、この場合には、乙はもはや被害者から残債務を訴求される可能性はないのであるから、甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定するのが相当であると解される。

  • 国民健康保険の保険者からの療養の給付に先立って自動車損害賠償保障法一六条一項の規定に基づく損害賠償額の支払がされた場合に右保険者が国民健康保険法六四条一項の規定に基づき代位取得する損害賠償請求権の額

H10.09.10 最高(一小)判 事件番号 平6(オ)651

  • 判決
    • 国民健康保険の保険者が交通事故の被害者である被保険者に対して行った療養の給付と、自賠責保険の保険会社が右被害者に対して自賠法一六条一項の規定に基づいてした損害賠償額の支払とは、共に一個の交通事故により生じた身体傷害に対するものであって、原因事実及び被侵害利益を共通にするものであるところ、

      右被保険者が、療養の給付を受けるのに先立って、保険会社から損害賠償額の支払を受けた場合には、右損害賠償額の支払は、右事故による身体傷害から生じた損害賠償請求権全体を対象としており、療養に関する損害をも包含するものであって、

      保険会社が損害賠償額の支払に当たって算定した損害の内訳は支払額を算出するために示した便宜上の計算根拠にすぎないから、

      右被保険者の第三者に対する損害賠償請求権は、その内訳のいかんにかかわらず、支払に応じて消滅し、保険者は、療養の給付の時に残存する額を限度として、右損害賠償請求権を代位取得するものと解すべきである

  •  宅配便の荷受人が運送会社に対して運送中の荷物の紛失を理由として運送契約上の責任限度額を超える損害の賠償を請求することが信義則に反し許されないとされた事例

H10.04.30 最高(一小)判 事件番号 平6(オ)799

  • 判決
    • 本件の事実関係の下においては、上告人が被告人に対し本件運送契約上の責任限度額である三〇万円を超えて損害賠償を請求することは、信義則に反し、許されないものと解するのが相当である 

  • 二時間後に返還する約束で自動車を借り受けた者が約一箇月後に起こした事故につき貸主が自動車損害賠償保障法三条にいう運行供用者に当たらないとされた事例

H9.11.27 最高(一小)判 事件番号 平6(オ)1860

  • 判決
    •  右事実関係の下においては、本件事故当時の本件自動車の運行は専らDが支配しており、被上告人は何らその運行を指示、制御し得る立場になく、その運行利益も被上告人に帰属していたとはいえないことが明らかであるから、被上告人は、自動車損害賠償保障法三条にいう運行供用者に当たらないと解するのが相当である。

  • 一 運転代行業者と自動車損害賠償保障法二条三項の保有者
  • 二 運転代行業者に運転を依頼して同乗中に事故により負傷した自動車の使用権者が運転代行業者に対する関係において自動車損害賠償保障法三条の他人に当たるとされた事例

H9.10.31 最高(二小)判 事件番号 平6(オ)1370

  • 判決
    • 「前記事実関係によれば、P代行は、運転代行業者であり、本件自動車の使用権を有する被上告人の依頼を受けて、被上告人を乗車させて本件自動車を同人の自宅まで運転する業務を有償で引き受け、代行運転者であるFを派遣して右業務を行わせていたのであるから、

      本件事故当時、本件自動車を使用する権利を有し、これを自己のために運行の用に供していたものと認められる。

      したがって、P代行は、法二条三項の「保有者」に当たると解するのが相当である。」

      「前記事実関係によれば、被上告人は、飲酒により安全に自動車を運転する能力、適性を欠くに至ったことから、自ら本件自動車を運転することによる交通事故の発生の危険を回避するために、運転代行業者であるP代行に本件自動車の運転代行を依頼したものであり、

      他方、P代行は、運転代行業務を引き受けることにより、被上告人に対して、本件自動車を安全に運行して目的地まで運送する義務を負ったものと認められる。

      このような両者の関係からすれば、本件事故当時においては、本件自動車の運行による事故の発生を防止する中心的な責任はP代行が負い、被上告人の運行支配はP代行のそれに比べて間接的、補助的なものにとどまっていたものというべきである。

      したがって、本件は前記特段の事情のある場合に該当し、被上告人は、P代行に対する関係において、法三条の「他人」に当たると解するのが相当である。」

  •  一 分割保険料を滞納すると保険金を支払わない旨の約款の下における滞納保険料の全額が支払われた場合の保険金支払義務の帰すう
  • 二 保険料分割払約款におけるいわゆる保険休止状態の発生による保険金支払義務の消滅及び保険休止状態の解消による保険金支払義務の再発生についての主張立証責任

H9.10.17 最高(二小)判 事件番号 平8(オ)2064

  • 判決
    • 前記一1(六)記載の約款の条項は、保険契約者が分割保険料の支払を一箇月以上遅滞したため保険会社が保険金支払義務を負わなくなった状態(以下「保険休止状態」という。)が生じた後においても、

      履行期が到来した未払分割保険料の元本の全額に相当する金額が当該保険契約が終了する前に保険会社に対して支払われたときは、保険会社は、右支払後に発生した保険事故については保険金支払義務を負うことをも定めているものと解すべきである。

      右約款の条項については、保険休止状態の発生による保険金支払義務の消滅を主張する者は保険休止状態の発生時期及びそれ以後に保険事故が発生したことを主張、立証すべき責任を負い、

      保険休止状態の解消による保険金支払義務の再発生を主張する者は保険休止状態の解消時期及びそれ以後に保険事故が発生したことを主張、立証すべき責任を負うものと解すべきである。
       

  • 被害自動車の運転者とこれに同乗中の被害者が恋愛関係にある場合と過失相殺において右運転者の過失が被害者側の過失と認められるために必要な身分上、生活関係上の一体性の有無

H9.09.09 最高(三小)判 事件番号 平6(オ)940

  • 判決
    • DとEは、本件事故の約三年前から恋愛関係にあったものの、婚姻していたわけでも、同居していたわけでもないから、身分上、生活関係上一体を成す関係にあったということはできない。

  • 自動車共済契約の普通共済約款一般条項五条二項に規定する被共済自動車の譲渡の意義

H9.09.04 最高(一小)判 事件番号 平5(オ)2057

  • 判決
    • 本件約款一般条項五条に規定する譲渡がされたというためには、被共済自動車を譲渡する旨の合意が成立し、譲受人に対する被共済自動車の引渡しがされたことにより、譲受人が右自動車を使用してこれを現実に支配することをもって足り、

      被共済自動車の所有権移転時期にはかかわりがなく、その所有権移転登録手続、売買代金の支払など、譲渡契約上の義務の履行がすべて完了したかどうかは、右条項にいう譲渡の有無を左右するものではないと解すべきである。

  • いわゆる懲罰的損害賠償を命じた外国裁判所の判決について執行判決をすることの可否

H9.07.11 最高(二小)判 事件番号 平5(オ)1762

  • 判決
    • 本件外国判決のうち、補償的損害賠償及び訴訟費用に加えて、見せしめと制裁のために被上告会社に対し懲罰的損害賠償としての金員の支払
      を命じた部分は、我が国の公の秩序に反するから、その効力を有しないものとしなければならない。

  • 一 一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の逸失利益の算定方法
  • 二 不法残留外国人の労災事故による逸失利益の算定に当たり我が国における就労可能期間を事故の約五箇月後まで勤めた会社を退社した日の翌日から三年間を超えて認めなかった原審の認定判断が不合理ではないとされた事例
  • 三 損害賠償額を過少に算定した違法があるとしてされた上告の上告理由書提出期間経過後にこれを過大に算定した違法があるとしてされた附帯上告の適否

H9.01.28 最高(三小)判 事件番号 平5(オ)2132

  • 判決
    • 「一時的に我が国に滞在し将来出国が予定される外国人の逸失利益を算定するに当たっては、当該外国人がいつまで我が国に居住して就労するか、その後はどこの国に出国してどこに生活の本拠を置いて就労することになるか、などの点を証拠資料に基づき相当程度の蓋然性が認められる程度に予測し、将来のあり得べき収入状況を推定すべきことになる。そうすると、予測される我が国での就労可能期間ないし滞在可能期間内は我が国での収入等を基礎とし、その後は想定される出国先(多くは母国)での収入等を基礎として逸失利益を算定するのが合理的ということができる。そして、我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である。

      「原審は、右事実関係の下において、上告人が本件事故後に勤めた製本会社を退社した日の翌日から三年間は我が国において被上告会社から受けていた実収入額と同額の収入を、その後は来日前にパキスタン回教共和国(パキスタン・イスラム共和国)で得ていた収入程度の収入を得ることができたものと認めるのが相当であるとしたが、

      上告人の我が国における就労可能期間を右の期間を超えるものとは認めなかった原審の認定判断は、右に説示したところからして不合理ということはできず、原判決に所論の違法があるとはいえない

      「これを本件についてみるに、本件附帯上告理由は、いずれも上告理由とは別個のものといわざるを得ないところ、本件附帯上告状が、本件上告事件につき上告代理人に対し上告受理通知書が送達された日から五〇日を超えた後の平成八年一一月一九日に提出されたことは、記録上明らかである。したがって、本件附帯上告は、不適法であって、却下を免れない。

  • 一 不法行為により傷害を被ったことに基づく損害賠償の額を定めるに当たり被害者の身体的特徴をしんしゃくすることの可否
  • 二 交通事故により傷害を被ったことに基づく損害賠償の額を定めるに当たり首が長いという被害者の身体的特徴をしんしゃくすることはできないとされた事例

H8.10.29 最高(三小)判 事件番号 平5(オ)875

  • 判決
    • 「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないと解すべきである。」

      「上告人の身体的特徴は首が長くこれに伴う多少の頸椎不安定症があるということであり、これが疾患に当たらないことはもちろん、このような身体的特徴を有する者が一般的に負傷しやすいものとして慎重な行動を要請されているといった事情は認められないから、前記特段の事情が存するということはできず、

      右身体的特徴と本件事故による加害行為とが競合して上告人の右傷害が発生し、又は右身体的特徴が被害者の損害の拡大に寄与していたとしても、これを損害賠償の額を定めるに当たり斟酌するのは相当でない。」

  • 一 交通事故の被害者がその後に第二の交通事故により死亡した場合に最初の事故の後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たり被害者の死亡を考慮することの許否
  • 二 交通事故の被害者が事故後に死亡した場合に後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たり死亡後の生活費を控除することの許否

H8.05.31 最高(二小)判 事件番号 平5(オ)1958

  • 判決
    • 二 交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害のために労働能力の一部を喪失した場合における財産上の損害の額を算定するに当たっては、その後に被害者が死亡したとしても、

      交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、右死亡の事実は就労可能期間の算定上考慮すべきものではないと解するのが相当である(最高裁平成五年(オ)第五二七号同八年四月二五日第一小法廷判決・民集五〇巻五号登載予定参照)。

      右のように解すべきことは、被害者の死亡が病気、事故、自殺、天災等のいかなる事由に基づくものか、死亡につき不法行為等に基づく責任を負担すべき第三者が存在するかどうか、交通事故と死亡との間に相当因果関係ないし条件関係が存在するかどうかといった事情によって異なるものではない。

      本件のように被害者が第二の交通事故によって死亡した場合、それが第三者の不法行為によるものであっても、右第三者の負担すべき賠償額は最初の交通事故に基づく後遺障害により低下した被害者の労働能力を前提として算定すべきものであるから、

      前記のように解することによって初めて、被害者ないしその遺族が、前後二つの交通事故により被害者の被った全損害についての賠償を受けることが可能となるのである。

      三 また、交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害のために労働能力の一部を喪失した後に死亡した場合、労働能力の一部喪失による財産上の損害の額の算定に当たっては、交通事故と被害者の死亡との間に相当因果関係があって死亡による損害の賠償をも請求できる場合に限り、死亡後の生活費を控除することができると解するのが相当である

  • 後遺障害による逸失利益の算定に当たり事故後の別の原因による被害者の死亡を考慮することの許否

H8.04.25 最高(一小)判 事件番号 平5(オ)527

  • 判決
    • 交通事故の被害者が事故に起因する傷害のために身体的機能の一部を喪失し、労働能力の一部を喪失した場合において、いわゆる逸失利益の算定に当たっては、

      その後に被害者が死亡したとしても、右交通事故の時点で、その死亡の原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、右死亡の事実は就労可能期間の認定上考慮すべきものではないと解するのが相当である

  • ある者が交通事故の加害自動車の保有者であるか否かをめぐって争いがある場合における自動車損害賠償保障法七二条一項前段による請求権の消滅時効の起算点

H8.03.05 最高(三小)判 事件番号 平4(オ)701

  • 判決
    • そもそも,ある者が交通事故の加害自動車の保有者であるか否かをめぐって,右の者と当該交通事故の被害者との間で自賠法三条による損害賠償請求権の存否が争われている場合においては,

      自賠法三条による損害賠償請求権が存在しないことが確定した時から被害者の有する本件規定による請求権の消滅時効が進行するというべきである。





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