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  • 労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和四九年労働省令第三〇号)による特別支給金を被災労働者の損害額から控除することの可否

H8.02.23 最高(二小)判 事件番号 平6(オ)992

  • 判決
    • このような保険給付と特別支給金との差異を考慮すると、特別支給金が被災労働者の損害をてん補する性質を有するということはできず、したがって、被災労働者が労災保険から受領した特別支給金をその損害額から控除することはできないというべきである。

  • 自家用自動車保険普通保険約款の第一章賠償責任条項八条三号の免責条項にいう「配偶者」と内縁の配偶者

H7.11.10 最高(二小)判 事件番号 平(オ)438

  • 判決
    •  Dと被上告会社との間に締結されていた後記の自家用自動車保険契約に適用される自家用自動車保険普通保険約款(以下「本件約款」という。)の第一章賠償責任条項八条三号には、

      被保険者が被保険自動車の使用等に起因してその配偶者の生命又は身体を害する交通事故を発生させて損害賠償責任を負担した場合においても、

      保険会社は、被保険者がその配偶者に対して右の責任を負担したことに基づく保険金の支払義務を免れる旨が定められているところ(以下、右の定めを「本件免責条項」という。)、本件免責条項にいう「配偶者」には、法律上の配偶者のみならず、内縁の配偶者も含まれるものと解するのが相当である。

  • 一 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所」の意義
  • 二 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所」に当たらないとされた事例

H7.05.30 最高(三小)判 事件番号 平3(オ)2041

  • 判決
    • 「搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所」とは、乗車用構造装置がその本来の機能を果たし得る状態に置かれている場所をいうものと解するのが相当である」

      「前記事実関係によれば、本件事故当時Eが乗車していた場所は、いわゆる貨客兼用自動車の後部座席の背もたれ部分を前方に倒して折り畳み、折り畳まれた後部座席背もたれ部分の背面と車両後部の荷台部分とを一体として利用している状態にあったというのであるから、

      右の状態においては、後部座席はもはや座席が本来備えるべき機能、構造を喪失していたものであって、右の場所は、搭乗者傷害条項にいう「正規の乗車用構造装置のある場所」に当たらないというべきである。」

  • 被保険自動車に搭乗中交通事故により死亡した者の相続人が受領したいわゆる搭乗者傷害保険の死亡保険金を右相続人の損害額から控除することの要否

H7.01.30 最高(二小)判 事件番号 平3(オ)1038

  • 判決
    • このような本件条項に基づく死亡保険金は、被保険者が被った損害をてん補する性質を有するものではないというべきである。

      けだし、本件条項は、保険契約者及びその家族、知人等が被保険自動車に搭乗する機会が多いことにかんがみ、右の搭乗者又はその相続人に定額の保険金を給付することによって、これらの者を保護しようとするものと解するのが相当だからである。

      そうすると、本件条項に基づく死亡保険金を右被保険者の相続人である上告人らの損害額から控除することはできないというべきである。

  • 友人が借り受けて運転していた父所有の自動車に同乗中死亡した子が自動車損害賠償保障法三条にいう「他人」に当たるとされた事例

H6.11.22 最高(三小)判 事件番号 平3(オ)54

  • 判決
    • 右事実関係によれば、Eは、DがFから本件自動車を借り受けるについて口添えをしたにすぎず、Dと共同で本件自動車を借り受けたものとはいえないのみならず、

      Dより年少であって、Dに対して従属的な立場にあり、当時一七歳で普通免許取得資格がなく、本件自動車を運転したこともなかったものであるから、

      本件自動車の運行を支配・管理することができる地位になく、自動車損害賠償保障法三条に規定する運行供用者とはいえず、同条にいう「他人」に当たるものと解するのが相当である。

  • 交通事故による損害賠償債務についての一部の弁済の提供及び供託が有効である場合

H6.07.18 最高(二小)判 事件番号 平3(オ)1311

  • 判決
    • 交通事故によって被った損害の賠償を求める訴訟の控訴審係属中に、加害者が被害者に対し、第一審判決によって支払を命じられた損害賠償金の全額を任意に弁済のため提供した場合には、

      その提供額が損害賠償債務の全額に満たないことが控訴審における審理判断の結果判明したときであっても、原則としてその弁済の提供はその範囲において有効なものであり、被害者においてその受領を拒絶したことを理由にされた弁済のための供託もまた有効なものと解するのが相当である

H6.03.31 東京高判 事件番号 平5(ネ)612

  • 判決
    • 要旨第二>ところで、自動車の保有者甲が他の保有者乙を同乗させて自動車を運転中に、その運行により、乙の生</要旨第二>命又は身体が害された場合に、

      乙は、甲との関係において、常に自賠法三条本文にいう「他人」に当たらないというべきではなく、当該具体的事実関係のもとにおいて、「他人」に当たることもありうるものと解すべきである。

      そして、当該自動車に対する使用権原の性質又はその使用権原が甲又は乙のいずれに由来するかにより、両者の運行支配の程度は異なるものというべきであり、

      甲が乙所有の自動車の無償使用権者にすぎないとき又は丙所有の自動車を乙が借り受け、甲が丙の承諾のもとに乙から借り受けたとき等のように、

      当該自動車の使用権原の性質又はその由来から見ると、乙の当該自動車の運行支配の程度が甲のそれに比し勝るとも劣らない場合には、原則として、乙は「他人」に当たるとはいえないと解すべきであるが、

      甲と乙との法律関係、乙の現実の運行支配可能性等当該具体的事実関係に照らして、甲が乙の運行支配に服する立場になくなっているか、

      又は乙が当該自動車の運行に伴う危険を回避するため全面的にその運行支配を甲に委ね、甲において右危険を全面的に引き受け、しかもそうすることが社会的に相当なものといえる等の特段の事情があるときには、乙は「他人」に当たると解するのが、危険責任の法理に基づく自賠法三条の趣旨に沿うものというべきである。

  • 不法行為により死亡した者の相続人が加害者に対し死亡者の得べかりし普通恩給及び国民年金(老齢年金)をその逸失利益として請求することの可否

H5.09.21 最高(三小)判 事件番号 平1(オ)297

  • 判決
    • 他人の不法行為により死亡した者の得べかりし国民年金は,その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し,加害者に対してその賠償を請求することができるものと解するのが相当である

  • 交通事故と被害者の自殺との間に相当因果関係があるとされた事例

H5.09.09 最高(一小)判 事件番号 平5(オ)561

  • 判決
    • 本件事故によりDが被った傷害は,身体に重大な器質的障害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとはいうものの,本件事故の態様がDに大きな精神的衝撃を与え,しかもその衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと,

      その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって,Dが災害神経症状態に陥り,更にその状態から抜け出せないままうつ病になり,その改善をみないまま自殺に至ったこと,

      自らに責任のない事故で傷害を受けた場合には災害神経症状態を経てうつ病に発展しやすく,うつ病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較してはるかに高いなど原審の適法に確定した事実関係を総合すると,

      本件事故とDの自殺との間に相当因果関係があるとした上,自殺には同人の心因的要因も寄与しているとして相応の減額をして死亡による損害額を定めた原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない

  • 自動車損害賠償保障法一〇条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」が道路上を走行中に事故が発生した場合と政府の自動車損害賠償保障事業の適用の有無
  • 二 自動車損害賠償保障法七二条一項により死亡者の相続人に損害をてん補すべき場合に既に死亡者の内縁の配偶者が同条項によりてん補を受けた扶養利益の喪失に相当する額を死亡者の逸失利益の額から控除することの要否

H5.04.06 最高(三小)判 事件番号 昭61(オ)147

  • 判決
    • 同法七二条一項にいう「被害者」とは、保有者に対して損害賠償の請求をすることができる者をいうと解すべきところ、内縁の配偶者が他方の配偶者の扶養を受けている場合において、その他方の配偶者が保有者の自動車の運行によって死亡したときは、

      内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の喪失を損害として、保有者に対してその賠償を請求することができるものというべきであるから、内縁の配偶者は、同項にいう「被害者」に当たると解するのが相当である。

      そして、政府が、同項に基づき、保有者の自動車の運行によって死亡した被害者の相続人の請求により、右死亡による損害をてん補すべき場合において、

      政府が死亡被害者の内縁の配偶者にその扶養利益の喪失に相当する額を支払い、その損害をてん補したときは、右てん補額は相続人にてん補すべき死亡被害者の逸失利益の額からこれを控除すべきものと解するのが相当である

  • 故意によつて生じた損害をてん補しない旨の自家用自動車保険普通保険約款の条項が適用されない場合

H5.03.30 最高(三小)判 事件番号 昭63(オ)757

  • 判決
    • 本件免責条項は、傷害の故意に基づく行為により被害者を死亡させたことによる損害賠償責任を被保険者が負担した場合については適用されないものと解するのが相当である。

  • 一 不法行為と同一の原因によつて被害者又はその相続人が第三者に対して取得した債権の額を加害者の賠償額から控除することの要否及びその範囲
  • 二 地方公務員等共済組合法(昭和六〇年法律第一〇八号による改正前のもの)の規定に基づく退職年金の受給者が不法行為によつて死亡した場合にその相続人が被害者の死亡を原因として受給権を取得した同法の規定に基づく遺族年金の額を加害者の賠償額から控除することの要否及びその範囲

H5.03.24 最高(大法廷)判 事件番号 昭63(オ)1749

  • 判決
    • 「2 被害者が不法行為によって損害を被ると同時に,同一の原因によって利益を受ける場合には,損害と利益との間に同質性がある限り,公平の見地から,その利益の額を被害者が加害者に対して賠償を求める損害額から控除することによって損益相殺的な調整を図る必要があり,

      また,被害者が不法行為によって死亡し,その損害賠償請求権を取得した相続人が不法行為と同一の原因によって利益を受ける場合にも,右の損益相殺的な調整を図ることが必要なときがあり得る。

      このような調整は,前記の不法行為に基づく損害賠償制度の目的から考えると,被害者又はその相続人の受ける利益にって被害者に生じた損害が現実に補てんされたということができる範囲に限られるべきである。

      3ところで,不法行為と同一の原因によって被害者又はその相続人が第三者に対する債権を取得した場合には,当該債権を取得したということだけから右の損益相殺的な調整をすることは,原則として許されないものといわなければならない。

      けだし,債権には,程度の差こそあれ,履行の不確実性を伴うことが避けられず,現実に履行されることが常に確実であるということはできない上,

      特に当該債権が将来にわたって継続的に履行されることを内容とするもので,その存続自体についても不確実性を伴うものであるような場合には,当該債権を取得したということだけでは,これによって被害者に生じた損害が現実に補てんされたものということができないからである。

      4 したがって,被害者又はその相続人が取得した債権につき,損益相殺的な調整を図ることが許されるのは,当該債権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られるものというべきである

      「2 退職年金を受給していた者が不法行為によって死亡した場合には,相続人は,加害者に対し,退職年金の受給者が生存していればその平均余命期間に受給することができた退職年金の現在額を同人の損害として,その賠償を求めることができる。

      この場合において,右の相続人のうちに,退職年金の受給者の死亡を原因として,遺族年金の受給権を取得した者があるときは,

      遺族年金の支給を受けるべき者につき,支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で,その者が加害者に対して賠償を求め得る損害額からこれを控除すべきものであるが,

      いまだ支給を受けることが確定していない遺族年金の額についてまで損害額から控除することを要しないと解するのが相当である。

  •  自動車損害賠償保障法一〇条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」が道路上を走行中に事故が発生した場合と政府の自動車損害賠償保障事業の適用の有無

H5.03.16 最高(三小)判 事件番号 平3(オ)260

  • 判決
    • 自賠法一〇条にいう「道路…以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」であっても、その本来の用途から外れて道路上を走行中に事故が発生して、自動車損害賠償責任保険の被保険者以外の者の自賠法三条の規定による損害賠償責任が生ずる場合には、右事故につき、自賠法七一条に規定する政府の自動車損害賠償保障事業の適用があるものと解するのが相当である。

  •  保険事故が保険契約者・被保険者の故意によるものとして保険会社の免責が認められた事例

H4.12.18 最高(二小)判 事件番号 平3(オ)770

  • 判決
    • 右事実関係の下においては,本件事故によって上告人が被った右損害は,本件免責条項に定める保険契約者・被保険者の故意によって生じた損害に当たるというべきであるから,被上告人は免責され,上告人の本件請求は棄却を免れない 





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