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  • 夜間無灯火で自車の進行車線を逆行して来た対向車と正面衝突した事故につき自動車運転者の過失が否定された事例

H4.07.10 最高(二小)判 事件番号 平3(あ)49

  • 判決
    • 三 右のとおり,原判決は,被告人が,一八・七四メートルに接近するまでにA車を発見することができ,同車を発見した後進行方向左方へハンドルを切ることにより本件事故を回避できたとするが,

      進行方向左方へハンドルを切ることにより回避が可能であるというためには,被告人において回避措置を採るべき時点で,A車がそのまま直進するのかあるいは左右いずれかに進路を変更し回避の措置を講ずるのかなど,同車の進路を予測することが可能でなければならない。

      しかしながら,本件においては,A車は,衝突の直前に至るまで,前照灯を点灯して進行中の被告人車に気付いた様子もなく,被告人車の進行車線を無灯火で逆行するという異常な行動を採っているため,

      対向車の運転者としては,A車がいつどのような行動に出るかを判断できず,Aが衝突の危険を察知した場合にろうばいの余りかえって危険な行動に出る可能性すら懸念されるところである。

      しかも,原判決が判示するように,被告人車の時速は四〇キロメートル,A車の時速は三五キロメートル,視認可能距離は約二四・五メートルないし三〇メートルであったとするならば,

      視認可能となった時点から衝突までは約一・二秒ないし一・四秒しかなく,警音器を吹鳴するなどしてAの注意を喚起する時間的余裕のなかったことも明らかであって,

      結局,被告人において原判決が視認可能とする地点で直ちにA車を発見し,これを注視していたとしても,同車のその後の進路を予測することは困難であるというほかはない。

      まして,夜間,無灯火で自車の進行車線を逆行して来る車両があるなどということは通常の予測を超える異常事想であって,突如自車の進路上に対向車を発見した運転者の驚がく,ろうばいを考慮すれば,到底,右約一・二秒ないし一・四秒の間に回避が可能であるなどといえないことも,経験則上明らかである。

      もっとも,被告人車及びA車と同車種の車両を使用した原審鑑定人Bの実験結果によれば約五九・九メートルの距離で対向車をはっきり視認できたというのであるが,

      その場合でも右速度で進行した場合の衝突までの時間は約二・九秒にすぎず,記録によればAは当時血液一ミリリットル当たり一・七三ミリグラムという相当多量のアルコールを身体に保有していたことが認められ,

      同人に状況に応じた適切な措置を期待し難いことをも考慮すると,右距離でA車を発見してその動向を注視するとともに,警音器を吹鳴するなどAの注意を喚起する措置を併せて講じたとしても,

      必ずしもA車の進路の予測が可能となったとはいえず,被告人において本件事故を確実に回避することができたとはいえない。

      四 以上のとおり,被告人において前方注視を怠っていなければ本件事故を回避することが可能であったとはいえず,また,他に被告人に注意義務違反があったとも認められないから,本件事故につき被告人に過失があったとはいえない。

      したがって,その余の点について判断するまでもなく,被告人に前記過失があるとした第一審判決及びこれを是認した原判決には,判決に影響を及ぼすべき法令違反ないし重大な事実誤認があり,これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。 

  • 損害賠償額の算定に当たって加害行為前から存在した被害者の疾患をしんしゃくすることの可否

H4.06.25 最高(一小)判 事件番号 昭63(オ)1094

  • 判決
    • 被害者に対する加害行為と被害者のり患していた疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において,当該疾患の態様,程度などに照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,

      裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,民法七二二条二項の過失相殺の規定を類推適用して,被害者の当該疾患をしんしゃくすることができるものと解するのが相当である。

  • 生命保険の保険金受取人が死亡した場合における保険金受取人の変更に関する普通保険約款の解釈

H4.03.13 最高(二小)判 事件番号 昭和63(オ)1748

  • 判決
    • 本件条項の趣旨は,保険金受取人と指定された者(以下「指定受取人」という。)の死亡後,保険金受取人の変更のないまま保険金の支払理由が発生して,右変更をする余地がなくなった場合には,その当時において指定受取人の法定相続人又は順次の法定相続人で生存する者を保険金受取人とすることにあると解するのが相当である 

  • 交差点を直進する自動車運転者に交差点内で右折のため停止している車両の後続車が停止車両の側方を通過して右折することまでの予見義務がないとされた事例

H3.11.19 最高(三小)判 事件番号 平2(オ)435

  • 判決
    • 前記事実関係によれば、上告人は、青色信号に従って交差点を直進しようとしたのであり、右折車である郵便車が交差点内に停止して上告人車の通過を待っていたというのであるから、

      上告人には、他に特別の事情のない限り、郵便車の後続車がその側方を通過して自車の進路前方に進入して来ることまでも予想して、そのような後続車の有無、動静に注意して交差点を進行すべき注意義務はなかったものといわなければならない。

  •  生活保護法85条違反の罪の成立要件

H3.03.29 最高(三小)判 事件番号 平1(あ)512

  • 判決
    • 生活保護法八五条は,本来正当に保護を受けることができないのに不当に保護を受け又は受けさせることを防止するための規定であって,同条違反の罪が成立するには,不実の申請がされたこと,その他不正な手段が採られたことと保護との間の因果関係を必要とするものと解するのが相当であり 

  • 一 共同不法行為の加害者の各使用者間における求償権の成立する範囲
  • 二 加害者の複数の使用者間における各使用者の負担部分
  • 三 加害者の複数の使用者間における求償権の成立する範囲

H3.10.25 最高(二小)判 事件番号 昭63(オ)1383

  • 判決
    • 1 複数の加害者の共同不法行為につき、各加害者を指揮監督する使用者がそれぞれ損害賠償責任を負う場合においては、一方の加害者の使用者と他方の加害者の使用者との間の責任の内部的な分担の公平を図るため、求償が認められるべきであるが、

      その求償の前提となる各使用者の責任の割合は、それぞれが指揮監督する各加害者の過失割合に従って定めるべきものであって、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、

      その超える部分につき、他方の加害者の使用者に対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で、右の全額を求償することができるものと解するのが相当である。

      けだし、使用者は、その指揮監督する被用者と一体をなすものとして、被用者と同じ内容の責任を負うべきところ(最高裁昭和六〇年(オ)第一一四五号同六三年七月一日第二小法廷判決・民集四二巻六号四五一頁参照)、この理は、右の使用者相互間の求償についても妥当するからである。

      2 また、一方の加害者を指揮監督する複数の使用者がそれぞれ損害賠償責任を負う場合においても、各使用者間の責任の内部的な分担の公平を図るため、求償が認められるべきであるが、

      その求償の前提となる各使用者の責任の割合は、被用者である加害者の加害行為の態様及びこれと各使用者の事業の執行との関連性の程度、加害者に対する各使用者の指揮監督の強弱などを考慮して定めるべきものであって、

      使用者の一方は、当該加害者の前記過失割合に従って定められる負担部分のうち、右の責任の割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、

      その超える部分につき、使用者の他方に対して右の責任の割合に従って定められる負担部分の限度で求償することができるものと解するのが相当である。

      この場合において、使用者は、被用者に求償することも可能であるが、その求償し得る部分の有無・割合は使用者と被用者との間の内部関係によって決せられるべきものであるから(最高裁昭和四九年(オ)第一〇七三号同五一年七月八日第一小法廷判決・民集三〇巻七号六八九頁参照)、使用者の一方から他方に対する求償に当たって、これを考慮すべきものではない。

      3 また、複数の者が同一の事故車両の運行供用者としてそれぞれ自賠法三条による損害賠償責任を負う場合においても、右と同様に解し得るものであって、

      当該事故の態様、各運行供用者の事故車両に対する運行支配、運行利益の程度などを考慮して、運行供用者相互間における責任の割合を定めるのが相当である。

      4 これを本件についてみるに,被上告人の上告人に対する請求の当否を判断するに当たっては,まず,GとHとの過失割合に従って両者の負担部分を定め,Hの使用者としての上告人の負担部分を確定し,

      次いで,Gの加害行為の態様及びこれと上告人及び被上告人の各事業の執行との関連性の程度,Gに対する上告人及び被上告人の指揮監督の強弱,本件車両に対する上告人及び被上告人の運行支配,運行利益の程度などを考慮して,

      Gの負担部分につき,その使用者及び本件車両の運行供用者としての上告人及び被上告人の負担部分を確定する必要があったものというべきである。 

  • 男児の逸失利益を男子労働者の全年齢平均賃金額を基準として算定しホフマン式計算法により事故当時の現在価額に換算することの当否

H2.03.23 最高(二小)判 事件番号 平1(オ)1479

  • 判決
    • 死亡した幼児の将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償の額は,個々の事案に応じて適正に算定すべきものであるから,原審が,亡D(本件事故当時九歳の男児)の将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償の額につき,

      賃金センサスによる男子労働者の産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均賃金額を基準として収入額を算定した上,ホフマン式計算法により事故当時の現在価額に換算したからといって,直ちに不合理な算定方法ということはできない。

  • 犯罪の被害者ないし告訴人からの捜査の不適正又は不起訴処分の違法を理由とする国家賠償請求の可否

H2.02.20 最高(三小)判 事件番号 平1(オ)825

  • 判決
    • 【裁判要旨】
      犯罪の被害者ないし告訴人は、捜査機関の捜査が適正を欠くこと又は検察官の不起訴処分の違法を理由として、国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求をすることができない。

  • 犬を連れた歩行者の転倒について同人を自転車に乗って追い抜いた者に不法行為法上責められるべき注意義務違反がないとされた事例

H1.10.27 最高(二小)判 事件番号 昭62(オ)209

  • 判決
    • 原審の確定した右事実関係のもとで案ずるに,上告人は,被上告人が公道上を,降雨の中,右手に洋傘をさし,左手に二本の引き綱に繋いだ犬二匹を連れて上告人と同一方向に歩行しているのを認め,

      被上告人と自転車とが接触しないようにその後方から走行して被上告人の右側を追い抜いた際,被上告人の連れていた犬が驚いて不規則な動作をしたため,被上告人が平衡を失い路上に転倒したとい
      うものであるが,

      右転倒は,その状況に照らし,むしろ降雨の中,被上告人が右手に洋傘をさし,左手に犬二匹を連れて人車の通行する公道上を不安定な体勢で歩行していたことに起因するとみるべきであり,

      一方,犬の性癖等は様々であって,ことに自転車で接近したときの犬の反応動静を予測することは一般的に困難であり,特段の事情がない限り,犬が驚いて不規則な動作をすることによって歩行者が転倒するということを予見することも困難であるところ,

      本件においては,右特段の事情を認めることができないのであるから,上告人には本件事故につき不法行為法上責められるべき注意義務違反はないものというべきである 

  • 一 自動車損害賠償保障法三条に基づく損害賠償債権及び債務が混同したときと同法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額支払請求権の帰すう
  • 二 自動車損害賠償保障法三条に基づく損害賠償債権及び債務が混同したときと同法一五条に基づく保険金支払請求の可否

H1.04.20 最高(一小)判 事件番号 昭60(オ)217

  • 判決
    • 「自動者損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条による被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する損害賠償債務が同一人に帰したときには、自賠法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権は消滅するものと解するのが相当である

      「自動者損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条による被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する損害賠償債務が同一人に帰したときには、自賠法一六条一項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権は消滅するものと解するのが相当である

  • いわゆる第三者行為災害に係る損害賠償額の算定に当たつての過失相殺と労働者災害補償保険法に基づく保険給付額の控除との先後

H1.04.11 最高(三小)判 事件番号 昭63(オ)462

  • 判決
    • 労働者災害補償保険法(以下「法」という。)に基づく保険給付の原因となつた事故が第三者の行為により惹起され,第三者が右行為によつて生じた損害につき賠償責任を負う場合において,右事故により被害を受けた労働者に過失があるため損害賠償額を定めるにつきこれを一定の割合で斟酌すべきときは,保険給付の原因となつた事由と同一の事由による損害の賠償額を算定するには,右損害の額から過失割合による減額をし,その残額から右保険給付の価額を控除する方法によるのが相当である(最高裁昭和五一年(オ)第一〇八九号同五五年一二月一八日第一小法廷判決・民集三四巻七号八八八頁参照)

  •  一 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」の意義
  • 二 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に当たらないとされた事例

H1.03.09 最高(一小)判 事件番号 昭63(オ)1561

  • 判決
    • 自家用自動車保険普通保険約款の搭乗者傷害条項一条にいう「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」とは,当該乗車用構造装置の本来の用法によつて搭乗中の者をいうものと解するのが相当である。

      原審の適法に確定したところによれば,亡Dは,本件事故当時,E運転の普通乗用自動車の助手席の窓から上半身を車外に出し,頭部を自動車の天井よりも高い位置まで上げ,右手で窓枠をつかみ,左手を振り上げる動作をしていたというのであつて,

      かかる極めて異常かつ危険な態様で搭乗していた者は,乗車用構造装置の本来の用法によつて搭乗中の者ということはできず,「正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者」に該当しないものというべきである。 

  • 所得補償保険契約に基づいて支払われた保険金相当額を休業損害の賠償額から控除することの可否

H1.01.19 最高(一小)判 事件番号 昭62(オ)1532

  • 判決
    • 本件所得補償保険は,被保険者の傷害又は疾病そのものではなく,被保険者の傷害又は疾病のために発生した就業不能という保険事故により被つた実際の損害を保険証券記載の金額を限度として填補することを目的とした損害保険の一種というべきであり,

      被保険者が第三者の不法行為によつて傷害を被り就業不能となつた場合において,所得補償保険金を支払つた保険者は,商法六六二条一項の規定により,

      その支払つた保険金の限度において被保険者が第三者に対して有する休業損害の賠償請求権を取得する結果,被保険者は保険者から支払を受けた保険金の限度で右損害賠償請求権を喪失するものと解するのが相当である。

  • 免許停止処分の理由となつた交通事故が刑事裁判で無罪となつた場合において右処分歴に基づく非反則者に対する公訴の提起が適法であるとされた事例

S63.10.28 最高(二小)判 事件番号 昭63(あ)103

  • 判決
    • 記録によれば、
      (1)岡山県警察本部長は、被告人が安全運転義務違反を行い、これにより軽傷交通事故を起こしたと認定して、その累積点数に基づき被告人を免許停止処分にしたこと、

      (2)被告人は、被害者らには傷害が発生しておらず、軽傷交通事故を起こしていないから、その累積点数は処分基準以下となるので、右免許停止処分は違法であるとして、同県公安委員会に対して審査請求をしたが、請求棄却の裁決を受け、出訴期間内に取消訴訟を提起しなかつたこと、

      (3)本件違反行為は、最高速度を二〇キロメートル毎時超えるもので、反則行為(道路交通法一二五条一項、昭和六一年法律第六三号による改正前の別表参照)に当たるが、被告人には、過去一年以内に右免許停止処分の前歴があつたため(同改正前の同条二項二号参照)、反則者に当たらないとして、本件公訴が提起されたこと、

      (4)その後右交通事故に関する業務上過失傷害被告事件において、傷害の事実の証明がないとして、右訴因については無罪とされ、予備的訴因の安全運転義務違反の限度で有罪とされ、右判決が確定したこと、

      (5)被告人が本件について控訴を申し立てた後、同県警察本部に対する同人の申し出により、警察庁情報処理センターに保管されている被処分者の運転フアイルから右免許停止処分の記事が抹消されたことが認められる。

      このうち、(5)の免許停止処分の記事抹消は、その理由、手続、効果等からみて、右処分の職権取消とは認められない。

      また、(1)の免許停止処分の当時、処分行政庁は、相当な根拠のある関係資料に基づき、被害者らが傷害を負つたと認めたのであるから、その後(4)のように刑事裁判において傷害の事実の証明がないとして、被告人が無罪とされたからといつて、右処分が無効となるものではない。

      そうすると、本件免許停止処分は、無効ではなく、かつ、権限のある行政庁又は裁判所により取り消されてもいないから、被告人を反則者に当たらないと認めてなされた本件公訴の提起は、適法である。

  • 自己所有の自動車の運転を友人に委ねて同乗中友人の惹起した事故により死亡した者が友人との関係において自動車損害賠償保障法三条の他人にあたらないとされた事例
  • 被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否

S63.07.01 最高(二小)判 事件番号 昭60(オ)1145

  • 判決
    • 被用者がその使用者の事業の執行につき第三者との共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、

      右第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、右第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができるものと解するのが相当である

  • 貨物自動車の荷降ろし作業中に生じた人身事故が自動車損害賠償保障法二条二項にいう「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」によつて生じたものとされた事例

S63.06.16 最高(一小)判 事件番号 昭59(オ)1063

  • 判決
    • 右事実関係のもとにおいては、右枕木が装置されている荷台は、本件車両の固有の装置というに妨げなく、また、本件荷降ろし作業は、直接的にはフオークリフトを用いてされたものであるにせよ、

      併せて右荷台をその目的に従つて使用することによつて行われたものというべきであるから、本件事故は、本件車両を「当該装置の用い方に従い用いること」によつて生じたものということができる。

  •  荷降ろし作業の際の人身事故が自動車損害賠償保障法三条にいう自動車の「運行によつて」生じたものとはいえないとされた事例

S63.06.16 最高(一小)判 事件番号 昭61(オ)1261

  • 判決
    • 原審の確定した前記の事実関係によれば,本件事故は,被上告人Bが,被害車を運転中,道路上にフオーク部分を進入させた状態で進路前方左側の空地に停止中の本件フオークリフトのフオーク部分に被害車を衝突させて発生したのであるから,

      本件車両がフオークリフトによる荷降ろし作業のための枕木を荷台に装着した木材運搬用の貨物自動車であり,上告人が,荷降ろし作業終了後直ちに出発する予定で,一般車両の通行する道路に本件車両を駐車させ,本件フオークリフトの運転者Eと共同して荷降ろし作業を開始したものであり,

      本件事故発生当時,本件フオークリフトが三回目の荷降ろしのため本件車両に向かう途中であつたなど前記の事情があつても,本件事故は,本件車両を当該装置の用い方に従い用いることによつて発生したものとはいえないと解するのが相当である 

  • 見通しのきかない交差点におけるいわゆる広路通行車両の徐行義務

S63.04.28 最高(二小)判 事件番号 昭62(あ)644

  • 判決
    • 道路交通法四二条によれば,車両等が同条一号にいう「左右の見とおしがきかない交差点」に入ろうとする場合には,当該交差点において交通整理が行われているとき及び優先道路を通行しているときを除き,徐行しなければならないのであつて,右車両等の進行している道路がそれと交差する道路に比して幅員が明らかに広いときであつても,徐行義務は免除されないものと解するのが相当である。 





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