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後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効に関する判決
判例 平成16年12月24日 最高裁二小 平成14年(受)第1355号
高裁の判断は自算会の認定日以降としたが、
「 被上告人は,後遺障害等級表12級12号の認定を受けるまでは,本件後遺障害に基
づく損害賠償請求権を行使することが事実上可能な状況の下にその可能な程度にこれ
を知っていたということはできないから,被上告人の本件後遺障害に基づく損害賠償請
求権の消滅時効の起算点は,(注、自算会による)上記認定がされた時(注、平成11年
7月30日)以降であると解すべきである。」
最高裁は、原判決を破棄、原審に差し戻しとした。
その理由は,次のとおりである。
「 (1) 民法724条にいう「損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」とは,被害者において,加害者
に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に,それが可能な程度に損害及
び加害者を知った時を意味し(最高裁昭和45年(オ)第628号同48年11月16日第二
小法廷判決・民集27巻10号1374頁参照),同条にいう被害者が損害を知った時とは
,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいうと解するのが相当である(最高裁平成
8年(オ)第2607号同14年1月29日第三小法廷判決・民集56巻1号218頁参照)。
(2) 前記の事実関係によれば,被上告人は,本件後遺障害につき,平成9年5月22日
に症状固定という診断を受け,これに基づき後遺障害等級の事前認定を申請したという
のであるから,被上告人は,遅くとも上記症状固定の診断を受けた時には,本件後遺障
害の存在を現実に認識し,加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の
下に,それが可能な程度に損害の発生を知ったものというべきである。」
「そうすると,被上告人の本件後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効は,遅くとも
平成9年5月22日から進行すると解されるから,本件訴訟提起時(注、平成13年5月2
日、相手方は消滅時効を援用)には,上記損害賠償請求権について3年の消滅時効期
間が経過していることが明らかである。」
※被害者は自算会の後遺障害等級の認定結果に対し、更に後遺障害の異議申立てをしていたが,退けられている。
被害者の治療が長引いたり、加害者との話し合いがつかないなどの理由で、請求手続ができていない場合には時効に気をつける必要があります。
法律で定める時効期間が経過すると、その権利が消滅してしまうのが消滅時効です。
被害者がいつまでも請求をしないと、権利が消滅し、損害賠償を請求できなくなります。
なお、時効は一方の債務者側がその主張(援用)をしなければ成立しません。
交通事故のような不法行為の時効は3年です。 損害賠償請求権は3年を経過したときに、時効によって消滅します。ただし、保険請求の時効は2年ですから注意が必要です。
起算日は、損害賠償の請求権は「損害および加害者を知った時」から数えられます。
後遺障害の損害賠償請求権は、後遺症が出てから3年間(保険金は2年間)です。
時効の進行は 請求、差押え・仮差押え・仮処分、承認により中断させることができます。
被害者の請求により、加害者から治療費の支払いがあれば、そこから進行します。
このように時効は権利の有無に直結します。迷ったときには、必ず専門家にチェックしてもらい、中断の手続きを取ってもらった方が安心でしょう。
時効についての判例
■交通事故の関連
○民法
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加
害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から
二十年を経過したときも、同様とする。
○自動車損害賠償保障法
第19条 第十六条第一項及び第十七条第一項の規定による請求権は、二年を経過した ときは、時効によつて消滅する。
第75条 第十六条第四項若しくは第十七条第四項(これらの規定を第二十三条の三第 一項において準用する場合を含む。)又は第七十二条第一項の規定による請求権は、 二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
○商法
第663条 保険金額支払ノ義務及ヒ保険料返還ノ義務ハ二年保険料支払ノ義務ハ一年 ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
■時効期間の進行(権利を行使しないことにより進行)
第166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
第167条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
○ 2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
※時効期間の経過によって権利の得喪変更が生じる。
■時効の援用
第145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができな
い。
■時効の中断の方法(権利を行使することにより中断)
第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
※請求は裁判上の請求をする必要がある。(149条)
※承認の例として権利行使の相手に「債務を認める」旨の書面を書いてもらう、など。
第148条 前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継
人の間においてのみ、その効力を有する。
第149条 裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じ
ない。
第150条 支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条に定める期間内に仮執行の
宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。
第153条 催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民
事調停法若しくは家事審判法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生
手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。
※催告だけでは6ヶ月間時効の進行が猶予されるだけで、時効は中断されない。
第171条 弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した
時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免
れる。