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  • 自動車の無断運転に関し,客観的外形的に自動車所有者のためにする運行と認められるか否かにつき審理不尽があるとされた事例

S40.09.07 最高(三小)判 事件番号 昭37(オ)274

  • 判決
    • 自動車損害賠償保障法三条の賠償責任に関しては,たとえ事故を生じた当該運行行為が,具体的には第三者の無断運転による場合であつても,

      自動車の所有者と第三者との間に雇傭関係な密接な関係が存し,かつ日常の自動車の運転及び管理状況等から,客観的外形的には,自動車所有者のためにする運行と認められるときは,

      右自動車所有者は「自己のために自動車を運行の用に供する者」というべく,当該運行行為により他人の生命又は身体を害したことによつて生じた損害を賠償する責に任ずべきものである。(昭和三八年(オ)第九〇三号昭和三九年二月一一日第三小法廷判決,民集一八巻二号三一五頁参照。)

  • 農業協同組合の運転手が私用のため組合所有の自動車を無断運行中事故を発生させた場合右組合が自動車損害賠償保障法第三条にいう「自己の為に自動車を運行の用に供する者」にあたるとされた事例。

S39.12.11 最高(三小)判 事件番号 昭38(オ)903

  • 判決
    • たとえ事故を生じた当該運行行為が具体的には第三者の無断運転による場合であつても,自動車の所有者と第三者との間に雇傭関係等密接な関係が存し,かつ日常の自動車の運転及び管理状況等からして,客観的外形的には前記自動車所有者等のためにする運行と認められるときは,

      右自動車の所有者は「自己のために自動車を運行の用に供する者」というべく自動車損害賠償保障法三条による損害賠償責任を免れないものと解すべきであるとし,

      前記認定の上告組合とDとの雇傭関係,日常の自動車の使用ないし管理状況等によれば,本件事故発生当時の本件自動車の運行は,Dの無断運転によるものにせよ,客観的外形的には上告組合のためにする運行と認めるのが相当である

  •  いわゆるドライブクラブ方式による自動車賃貸業者と自動車損害賠償保障法第三条の適用の有無。

S39.12.04 最高(二小)判 事件番号 昭38(オ)365

  • 判決
    • 原審の認定によれば右のようないわゆるドライブクラブ方式による自動車賃貸業者から自動車を借り受けた者がこれを運転使用している場合には,自動車賃貸業者としては,借受人の運転使用についてなんら支配力を及ぼし得ないというのであり,

      このような場合には,右借受人のみが自己のため自動車を運行の用に供する者にあたるものというべく,

      従つて,右借受人が該自動車を運転使用中にひき起した事故については,自動車賃貸業者を以て前記法条にいわゆる自己のため自動車を運行の用に供した者にあたるとして,これに対し前記法条の定める損害賠償責任を負わせることはできないと解するのを相当とする

  • 不法行為による死亡に基づく損害賠償額から生命保険金を控除することの適否。

S39.09.25 最高(二小)判 事件番号 昭39(オ)328

  • 判決
    • 「不法行為における過失相殺については、裁判所は、具体的な事案につき公平の観念に基づき諸般の事情を考慮し、自由なる裁量によつて被害者の過失をしんしゃやくして損害額を定めればよく、所論のごとくしんしやくすべき過失の度合につき一々その理由を記載する必要がないと解するのが相当である。」

  • 民法第七二二条第二項により被害者の過失を斟酌するについて必要な被害者の弁識能力の程度。

S39.06.24 最高(大法廷)判 事件番号 昭36(オ)412

  • 判決
    • 未成年者が他人に加えた損害につき、その不法行為上の賠償責仕を問うには、未成年者がその行為の責任を弁識するに足る知能を具えていることを要することは民法七一二条の規定するところであるが、他人の不法行為により未成年者がこうむった損害の賠償額を定めるにつき、

      被害者たる未成年者の過失をしんしゃくするためには、未成年者にいかなる知能が具わっていることを要するかに関しては、民法には別段の規定はなく、

      ただ、この場合においても、被害者たる未成年者においてその行為の責任を弁識するに足る知能を具えていないときは、その不注意を直ちに被害者の過失となし民法七二二条二項を適用すべきではないとする当裁判所の判例(昭和二九年(オ)第七二六号、同三元年七月二〇日第二小法廷判決)があることは、所論のとおりである。

      しかしながら、民法七二二条二項の過失相殺の問題は、不法行為者に対し積極的に損害賠償責任を負わせる問題とは趣を異にし、不法行為者が責任を負うべき損害賠償の額を定めるにつき、公平の見地から、損害発生についての被害者の不注意をいかにしんしゃくするかの問題に過ぎないのであるから、

      被害者たる未成年者の過失をしんしゃくする場合においても、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足り、未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく、行為の責任を弁識するに足る知能が具わっていることを要しないものと解するのが相当である。したがって、前示判例は、これを変更すべきものと認める。

      原審の確定するところによれば、本件被害者らは、事故当時は満八才余の普通健康体を有する男子であり、また、当時すでに小学校二年生として、日頃学校及び家庭で交通の危険につき充分訓戒されており、交通の危険につき弁識があつたものと推定することができるというのであり、右認定は原判決挙示の証拠関係に照らし肯認するに足る。 

  • 事故により死亡した幼児の得べかりし利益の算定は可能か。

S39.06.24 最高(三小)判 事件番号 昭36(オ)413

  • 判決
    • 上告人らは,論旨一,において,総論的に,本件のごとく被害者が満八才の少年の場合には,将来何年生存し,何時からどのような職業につき,どの位の収入を得,何才で妻を迎え,子供を何人もち,どのような生活を営むかは全然予想することができず,

      したがって「将来得べかりし収入」も,「失うべかりし支出」も予想できないから,結局,「得べかりし利益」は算定不可能であると主張する。

      なるほど,不法行為により死亡した年少者につき,その者が将来得べかりし利益を喪失したことによる損害の額を算定することがきわめて困難であることは,これを認めなければならないが,算定困難の故をもって,たやすくその賠償請求を否定し去ることは妥当なことではない

  • 自動車損害賠償保障法第三条による保有者に対する損害賠償請求権と同法第一六条第一項による保険会社に対する損害賠償額支払請求権との関係。

S39.05.12 最高(三小)判 事件番号 昭36(オ)1206

  • 判決
    • しかし自動車損害賠償保障法(以下自賠法と略称する)は自動車の運行によつて人の生命叉は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより,一面自動車運送の健全な発達に資するとともに他面被害者の保護を図つていること並びに同法は自動車事故が生じた場合被害者側が加害者側から損害賠償をうけ,

      次に賠償した加害者が保険会社から保険金を受け取ることを原則とし,ただ被害者および加害者双方の利便のために補助的手段として,被害者側から保険会社に直接一定の範囲内における損害額の支払を請求し得ることとしている趣旨に鑑みるときは,

      自賠法三条又は民法七〇九条によつて保有者および運転者が被害者に対し損害賠償責任を負う場合に,被害者が保険会社に対しても自賠法一六条一項に基づく損害賠償請求権を有するときは,右両請求権は別個独立のものとして併存し,勿論被害者はこれがため二重に支払を受けることはないが,

      特別の事情のない限り,右保険会社から受けた支払額り内容と牴触しない範囲では加害者側に対し財産上又は精神上の損害賠償を請求し得るものと解するのを相当とする。

      従つて特別の事情の認められない本件では,被上告人の前記書面の提出により,加害者側に対する請求権をも放棄したものとは認められないとして,被上告人の上告人らに対する本件損害賠償請求を容認した原判決の判断は正当として肯認し得る。

  • 慰藉料額の量定に根拠を示すことの要否。

S38.04.30 最高(三小)判 事件番号 昭36(オ)1224

  • 判決
    • 慰藉料額は,裁判所において諸般の事情を考慮して量定すれば足りるのであつて,その量定の根拠を逐一説示しなければならないものではない。

  • 一 婚姻もしくは内縁関係を破綻させた第三者(舅および姑)の不法行為の成否。
  • 二 慰藉料額の認定の不当を上告理由となしうるか

S38.03.26 最高(三小)判 事件番号 昭35(オ)241

  • 判決
    • 所論は,原審が上告人の本訴請求に対して慰籍料額金一〇万円しか認容しなかつたのは,原判決の認定事実に比して著しく安きに失し,衡平の理念に反し,個人の尊厳と両性の本質的平等を規定した民法一条ノ二の理念に反するものであるというが,

      慰籍料額の認定は原審の裁量に属する事実認定の問題であり,ただ右認定額が著しく不相当であつて経験則もしくは条理に反するような事情でも存するならば格別,原判決認定の事実に照せばそのような特別の事情も認められないから,所論は採るを得ない。

  •  被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否
  •  一 通行人の死亡による損害が国道管理の瑕疵のため生じたものと認められた事例。
  • 二 不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の時期。

S37.09.04 最高(三小)判 事件番号 昭34(オ)117

  • 判決
    • 要旨
      一原動機付自転車に乗つた通行人が夜間国道上を通行中、暗渠新設工事のため同国道上に横たえられた枕木に激突、転倒し、死亡した場合において右枕木の位置およびその付近の夜間照明等について原判決認定のような事情(原判決理由参照)があるときは、

      右通行人が多少酒気を帯びており、右工事が同国道の管理者の許可を受けない等違法のものであつても、同管理者があらかじめ右工事を中止させて国道を原状に回復させ、これを常時安全良好な状態において維持しなかつたかぎり、右死亡による損害は同国道の管理に瑕疵があつたため生じたものというべきである。

      二 不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきである。

  • 自動車事故において被害者の過失が競合したがなお加害者に過失ありとされた事例

S37.05.18 最高(二小)判 事件番号 昭36(オ)1256

  • 判決
    • 原判決は、本件事故が上告人の被用者Dの過失に基いて惹起したものと判示しているのであつて(原判決理由参照)、右判断は肯定できる。

      而して、右事故について同時に被害者亡Eの過失が競合していても、それだけで上告人の責任がなくなるものではなく、ただ、被上告人らに対する損害賠償の額についてこのことを斟酌することができるにすぎないのであるが、

      原判決は、被上告人らに対する損害賠償の額について亡Eの判示過失を斟酌した上判示損害賠償の額を算定したものであるから、原判決に所論の理由齟齬、理由不備の違法がなく、論旨は採用できない。

  • 一 民法第七一七条にいわゆる「土地ノ工作物」に該当するとされた事例
  • 二 労働者災害補償保険法による遺族補償費として受給者の財産的損害額をこえる金額が支給された場合と受給者以外の遺族の財産的損害賠償請求権の有無
  • 三 労働者災害補償保険法による遺族補償費の受給と遺族の慰藉料請求権の有無
  • 四 労働者災害補償保険法による葬祭料の受給と遺族の損害補償請求権の有無

S37.04.26 最高(一小)判 事件番号 昭35(オ)381

  • 判決
    • 「土地の工作物の設置又は保存の瑕疵に因つて発生した損害については,工作物の所有者は自己の無過失の故を以てその賠償の責を免れ得ない筋合のものである

      「本件事故による被害者Dの死亡に因り物質的の損害賠償としてその妻たる被上告人B1は金二一万三七一四円の,被上告人
      B2,同B3,同B4はDの子として各金一四万二四七六円の各請求権を取得したものとされ,その外に慰藉料として被上告人B1は金一〇万円,被上告人B5は金三万円,被上告人B2,同B3,同B4は各金五万円の請求権を取得したものとされたこと,

      一方被上告人B1はDの本件事故に因る死亡を理由として労働者災害補償保険法に基づき遺族補償費として金三六万八八四〇円,葬祭料として金二万二一三〇円の各交付を受けたことは所論のとおりである。

      そして,右のような場合労働基準法八四条二項及び労働者災害補償保険法一二条一項四号,一五条,労働基準法施行細則四二条の法意に基づき被上告人B1の受けたる右遺族補償費三六万八八四〇円はB1の取得するものとされた前示物質的の損害賠償請求権二一万三七一四円にのみ充てらるべき筋合のものであつて,

      同人の前示慰藉料請求権にも,亦その他の被上告人の損害賠償(有形無形とも)請求権にも及ばないものであり,前示葬祭料に至つては勿論その対象とならないものと解するを相当とする

  • 不法行為による損害賠償と過失相殺。

S34.11.26 最高(三小)判 事件番号 昭32(オ)877

  • 判決
    • 被害者の過失を斟酌すると否とは裁判所の自由裁量に属することであるばかりではなく,原審は被害者である被上告人に過失があつたことを認定してはいないのであるから本件賠償額の算定につき所論の事実を斟酌しなかつたからといつて所論の違法があるとはいえない。

  • 不法行為により身体を害された被害者の母の慰藉料請求が認容された事例。

S33.08.05 最高(三小)判 事件番号 昭31(オ)215

  • 判決
    • ところで,民法七〇九条,七一〇条の各規定と対比して
      みると,所論民法七一一条が生命を害された者の近親者の慰籍料請求につき明文をもつて規定しているとの一事をもつて,直ちに生命侵害以外の場合はいかなる事情があつてもその近親者の慰籍料請求権がすべて否定されていると解しなければならないものではなく,

      むしろ,前記のような原審認定の事実関係によれば,被上告人B2はその子の死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を受けたと認められるのであつて,かゝる民法七一一条所定の場合に類する本件においては,同被上告人は,同法七〇九条,七一〇条に基いて,自己の権利として慰籍料を請求しうるものと解するのが相当である

  • 特別の事情によつて生じた損害であるとした判断が違法とされた事例。

S33.07.17 最高(三小)判 事件番号 昭31(オ)335

  • 判決
    • 右本件自動車の休車による得べかりし利益の喪失即ち消極的損害は,これにつき被控訴会社(上告会社)代理人が原審において主張した請求の中には,特段の事情の認められない限り,少くともその一部に,通常生ずべき損害を包含しているものと解するを相当とする。

  • 年令一〇年五ケ月の被害者の責任能力。

S32.06.20 最高(一小)判 事件番号 昭28(オ)91

  • 判決
    • 「被上告人は本件傷害により治療費を支払うべき債務を負担するに至つたもので,そのこと自体がとりも直さず損害と認むべきであり,

      親権者両名はこれを立替弁済したものと認むるを相当とするというのであつて,しかく判断すること必ずしも不当であると言うを得ないばかりでなく,その説明の過程に所論の矛盾又はくいちがいを発見し得ない。

      「本件事故当時被上告人が年令一〇歳五ケ月に達していたとしても事理弁識の能力を備えなかつたものと認むるを相当とすべく,

      従つて被上告人に過失があつたものと断ずるを得ないというのであつて,しかく判断することも亦必ずしも不当というを得ない

      「年令一〇年五ケ月に達した小学校五年生だからと言つて,必ずしも事理弁識の能力を備えているものと断定しなければならないものではない。

      所論民法七一二条は未成年者が他人に損害を加えた場合の規定であつて,本件のように未成年者が被害者となりその過失に基いていわゆる過失相殺を論ずべき場合に適用すべき規定ではない。

  • 生命を害された責任無能力の子に過失があつた場合に父母のなす慰藉料請求と民法第七二二条第二項

S31.07.20 最高(三小)判 事件番号 昭29(オ)726

  • 判決
    • 本訴は,被上告人等の二女Dが上告人の過失によりその運転する自動車にひかれ死亡したため,被上告人等が精神上の苦痛を蒙つたことを理由とし,民法七一一条の規定に基き慰藉料の支払を求めるものであることは,記録上明らかである。

      そして原判決は,Dが車の往来等に注意せず慢然道路を横断しようとしたことが本件事故の一因をなした旨判示していることは所論のとおりであるが,

      不法行為による死亡者の父母が民法七一一条の規定に基き慰藉料を請求する場合において,当該事故の発生につき死亡者にも過失があつたときは,たとえ被害者たる父母自身に過失がなくても,民法七二二条二項にいう「被害者ニ過失アリタルトキ」に当るものと解すべき余地があるとしても,

      死亡者が幼少者その他行為の責任を弁識するに足るべ
      き知能を具えない者であるときは,その不注意を直ちに被害者の過失となし民法七二二条二項を適用すべきではないと解するのが相当である。

      しかるに原判決の認定するところによれば,Dは当時僅かに八年一〇月の少女にすぎなかつたというので
      あるから,社会通念上前記程度の知能を具える者とは認め難いので,

      原判決が上告人の支払うべき慰藉料の額を定めるに当り,Dの前記不注意につき民法七二二条二項を適用しなかつたことはもとより違法でなく,またその理由を説示しなかつたことは原判決主文に影響がないから,論旨は結局理由がない。

  •  無許可で古物営業をしたものと認められた事例

S29.06.02 東京高判 事件番号 昭29(う)229

  • 判決要旨
    • 自転車商人の間を廻つて古タイヤを仕入れ、これを改作して履物を製造して販売することを営業とする者が、営利の目的で、所定の許可を受けないまま、比較的短期間(約二ケ月間)に五回に亘り中古自転車を売買したり、委託を受けて売り渡したり、交換により譲り受けてこれを売却したりした所為は継続的意思に出たものと認められるから、古物営業法第六条に該当する無許可で古物営業をしたものと認めるのま相当とする。





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